2024.08.03
こんにちは!街の屋根やさん宝塚店、生クリームが好きな京谷です(*^^*)今日のブログは、西宮市にお住まいの方から「台風被害で屋根板金が飛散したので火災保険が使えるか見てほしい」というご相談を頂き、現地へお伺いして無料調査した時の様子を書いていきますね!!戸建てにお住まいの方で、屋…
かれこれ2年半が経過して、ほとんどのお宅では平穏な日々を取り戻されたと思いますが、台風21号が及ぼした被害には驚かされました。
私は半世紀生きている屋根やさんですが、これ程までに猛烈な勢力の台風を経験したことがなく、ピーク時には恐怖を覚えました。
今年70代前半になる母は、「お母さんが中学2年生の来た第二室戸台風以来の凄さやで!」と言う程まれな規模の台風だったのです。
あれから50年も経つと、第二室戸台風を実体験して記憶している人の方が少ない時代であり、ほとんどの人は同じ思いでしょう。
台風被害を伝えるニュース映像をテレビで見ると、あらためて凄まじさに肝を冷やし、どれだけの人が傷ついたか心を痛めたものです。
トラックが横転して淀川の橋梁から転落寸前の被害をもたらす台風21号ほどの猛烈な勢力であれば、屋根修繕被害が多発して当然かも知れません。
宝塚市のスレート葺き片流れ屋根では、頂上の仕上げ部材である棟包み板金が、強風の被害に遭い、欠損してしまいました。
ご近所の皆様が拾い集めて、ごみ集積所に寄せられた見慣れぬ物を見て、台風がもたらす強風は被害甚大だと思ったとおっしゃいます。
その記憶を鮮明に残していた施主様は、次の休みの日に、我が家に被害がなかったか周囲を歩き回って確認したそうです。
山手の住宅街に構える居であったので、自宅より高い位置や、低い位置からも目視観察したら、いつもと違う雰囲気を感じたとの事。
それが何なのかは解からないが、明らかに屋根の部材が無くなっている事が解り、住宅建築会社に調査依頼をされる事になりました。
このお宅を建てたのは、どなたでも知っているような大手住宅メーカーですが、具体的な社名の公表は伏せさせて頂きます。
大棟を仕上げる棟包み板金が欠損した状態は、誰が見ても同じ状態であり、原状回復すると言うシンプルな工事をすることになります。
住宅建築会社の被害調査の後、施主様は屋根工事専門会社の意見も聞いてみたくなられたそうで、街の屋根やさん宝塚店に連絡が入りました。
まず施主様は被害箇所の写真を見せて下さいました。ベランダ屋根と陸屋根形状のルーフバルコニーが遮り見えないからです。
梯子を架ける事が出来る場所もあるのですが、角度が90°の垂直状態になる位置で、とても登る事が出来ない敷地構造でした。
垂直立ちの梯子を登るにはロープやラッシングなどの固定資材が必要なので、被害調査はそれを準備した後日行う事になりました。
先述の通り街の屋根やさん宝塚店の見解も、棟包み板金が欠損した部分の原状回復と同じですが、解かった事はお伝えしました。
まずはルーフバルコニーに登ります。垂直の梯子を使い脚立を担いで登るのはかなり大変ですが、被害状態の確認には必要です。
わざわざ脚立を担いでルーフバルコニーに揚げる理由は、大棟包み板金の位置が高く、詳しく見る事ができないからなのです。
脚立に登って捉えた被害状況はこの通りで、片流れ屋根の大棟に使用する既製品の棟包み板金が使用されている事が解りました。
屋根資材の最終ランナーでアンカーを務める大棟包み板金の留め付け方法が脆弱であった事が被害を発生させた副因である事が解かりました。
被害箇所は、大棟包み板金だけではない事も判りました。テレビアンテナの素子も風害を受け、ルーフバルコニーに落ちています。
風害が原因ではありませんが、陸屋根形状のルーフバルコニーの排水口付近には、多くの堆積物が集積している状態も見て取る事が出来ます。
また更には、屋根から滴り落ちる雨水や、吹き付けて来る雨水から軒先を遮水する鼻隠し板の継ぎ目のコーキングが劣化している事も判りました。
大棟包み板金の原状回復工事をする時には、アンテナ修理、鼻隠し板継ぎ目のコーキング、ルーフバルコニー排水口の清掃もしておくべきでしょう。
街の屋根やさん宝塚店が屋根に登らせて頂き、実地見分して判ったことは、デジカメの画像を見て頂きながら、その場でお伝えしています。
これらをお伝えしたうえで後日見積書を届けると、その場で「街の屋根やさん宝塚店に屋根修繕工事を頼みたい」とおっしゃいました。
施主様は、住宅建築会社様と街の屋根やさん宝塚店が比較考量された訳ですが、なぜ当店に任せたいと思ったかを聞いてみました。
そして「被害を受けた部分のウィークポイントを見極めているし、屋根修繕工事の時に追加で修繕すべき状況も見てくれた。」
「大棟包み板金だけでなく、アンテナの不具合や、ルーフバルコニーの排水口清掃、鼻隠し板コーキングまで発見してくれた事。」だったそうです。
板金修繕工事に付随する追加3点の工事を含めても、住宅建築会社が提示した修繕工事見積もり価格よりもずいぶん安かったそうです。
「見積金額だけでなく、よく実情を確認し、この際にやっておくべき事項を示してくれたのが最大の決定要因だ。」との言葉がありました。
接近して棟包み板金が欠損した部位を見てみましょう。下地の貫板が露出しており、切り落とされた部分では屋根の断面を見る事ができます。
屋根修繕工事を営む私達にはごく普通の構造としか思えませんが、一般の方にはなかなか見る事が出来ない珍しい物に感じましょうからご説明申し上げます。
木造家屋の躯体が組上がると、屋根には厚さ12mmの構造用合板を用いた野地板が敷き込まれますが、これを見る事が出来ます。
そして次に厚さが数ミリ程度の緑色の資材が見えますが、これがルーフィングシートと言う防水シートであり、必ず敷き込みます。
さらにその上には、スレート屋根材の端部を見る事が出来ますが、大棟には枕になるスレート材を敷設するのでこの部分だけ2重になります。
野地板に続いてルーフィングシートが敷き込まれ、セオリー通りに大棟を形成するスレート屋根材が敷設されて、板金で仕上がり、正常な屋根工事です。
屋根資材の最終ランナーでアンカーを務める大棟包み板金の留め付け方法が脆弱であった事が被害を発生させた副因と申し上げました。
最初にこの理由が何かを考えて行きます。棟包み板金を留め付ける物は釘ですが、打ち付ける位置によって、耐久性が変わります。
貫板は無垢の杉材ですが、野地板は構造用合板で、木造家屋に使用される資材の性質が異なり、それを理解した施工が求められます。
片流れ屋根の大棟板金を垂直落とし方向で見ると、構造用合板の側面に釘が打ち付けられている状態を見る事が出来るでしょう。
これが被害の根源になっていた可能性を街の屋根やさん宝塚店は感じ取りました。その理由を今から申し上げて行きます。
構造用合板は、家屋の躯体に使用しても、十分な地震耐力を保つ建築資材であることを国土交通省が認めている屋根資材です。
国交省が認めた堅牢な屋根資材でも、その構造を理解した上で、釘を打ち込む方向が、材質上適切かを見極める判断力が問われます。
構造用合板の側面を見ると、薄い木材が何枚も貼り重ねられて、ミルフィーユのような積層構造を成している事が解ります。
垂直方向から串刺しするように釘を打ち込むと有効ですが、水平方向に釘を打ち込むと積層を分解してしまう力が働きます。
積層に水平に打ち込んでいた釘は、棟包み板金を留め付ける強度が弱まり始め、10数年経過した今、強風に耐えられなくなったのです。
(棟包み板金が強風被害を受けにくい留め付け方法は、少しの工夫で可能になりますのでご安心ください。)
それぞれのお家は、建築に関わった方が一番よく理解しているはずなので、まずは住宅建築会社に診てもらうのが最善策だと思います。
横着をする意図ではなく、危険を冒して屋根に登らなくても、構造を知っている住宅建築会社は、おおよその想像が出来ていたのでしょう。
でも登ってみなければ、アンテナ素子が外れてしまっている事や、排水口付近の堆積物も除却すべきことなどに気付く事が出来ません。
外壁塗装をする場合、家全体に足場が組まれるので、接近して確認する事ができ、コーキングの劣化もその時に判ったはずです。
外壁塗装工事をした時に気付いたであろう、間もなく生じると思われる経年劣化を指摘し、処置をしてくれなかったのかと残念がられていました。
私達の体も例外ではなく、全ての物質は必ず経年劣化しますので、固有の耐用年数が経過したら、メンテナンスが求められます。
メンテナンス(一定の手入れ)には費用が伴い負担になりますが、物質の所期性能の維持には欠かせず、結果的に負担が軽減されます。
これを理解されていたから、見て解った異変にこの際きちんと処置を施して欲しいと思う気持ちが、街の屋根やさん宝塚店を選ばれたのです。
住宅建築会社と異なり、屋根に登ったことによって、結果的に副次的な事象に気付いただけですが、登る事ができない屋根もあります。
屋根に登るために架ける梯子を安定させる事ができない敷地および建物構造のお宅も多くあり、近接調査を断念する事もあります。
仮に安定的に梯子を架ける事が出来たとしても、屋根勾配が急すぎて、登ってみたくても近接調査が叶わない屋根もあります。
そんな建物レイアウトや、急勾配屋根のお宅では、忍者やスパイダーマンでもないかぎり、どんな屋根やさんでも不可能です。
僅かな屋根修繕工事でも足場を架けなければならない場合もありますし、足場が架かってからしか判らない事も残ってしまいます。
出来る限りの事は対応する心構えでいますが、物理的に難しい事情がある場合は、どうぞご容赦頂きますようお願い申し上げます。
雨漏りする可能性が低い理由は、築10年を超えた程度であり、ルーフィングシートの防水性能が十分に残っていると考えられるからです。
しかし出来る限り早めに対処したいと申し上げる理由は、被害部分の状態を見て頂きながらご説明申し上げたいと思います。
まずは、大棟包み板金の下地になる貫板や、野地板の切断面が露出しているので、雨降りのたびに劣化の進行が速まるからです。
貫板は杉の無垢材ですので、多少雨水に晒されても、大きく強度が下がるものではありませんが、野地板は無垢材よりも劣ります。
無垢板ではない構造用合板である野地板は、薄くスライスされた木材に接着剤を浸潤させ、高圧プレス機械で成形されます。
接着剤は有機溶剤系なので水分で融解されることはありませんが、浸み込んだ水分が基材であるスライス状の木材を傷めます。
野地板切断面付近の自然劣化を回避するために、直接雨水が降り注ぐ状態は出来る限り早期に回避してしまいたいところです。
このお宅は、屋根工事に求められる原則論を貫いておりますので、被害理由は想定外の強風がもたらしたものと考えられます。
(もし棟包み板金の留め付け方法が主因とするならば、今次の台風でもっと多くの板金が欠損していたと考えられるから、主因はやはり強風です。)
築年数に関わらず、竜巻やつむじ風、気圧の落差から、台風以外でも強風による災害は毎年各地で起こり、屋根修繕が必要となります。
例えそれが局地的であっても集中的に被害が発生すると、屋根修繕は順次行うので、一定期間待たされることがあるでしょう。
その期間に雨がどれだけ降るかは、季節性が大きく関与しますが、世界的な気象条件により左右されるので、時の運になります。
人工的に作られた積層の構造用合板が雨に弱い特性を理解しているならば、切断面(木口)をなぜ晒す仕上がりにしたのかと思います。
屋根材でも守り切れない時の砦である二次防水を果たすルーフィングシートが、野地板の切断面(木口)で終わっている事が残念です。
棟包み板金が欠損してしまった時を想像して、あと数センチ長く被せ込んでいたら、構造用合板は雨晒しにはなりませんでした。
数センチ余計にルーフィングシートを被せ込んでも、それは棟包み板金よりも短いので、板金端部から見える事もないので有効です。
建築資材の特性を理解した上で、屋根工事に携わる人が、ルーフィングシートを被せ込んでいたら、復旧工事を慌てなくて良かったでしょう。
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