屋根資材の最終ランナーでアンカーを務める大棟包み板金の留め付け方法が脆弱であった事が被害を発生させた副因と申し上げました。
最初にこの理由が何かを考えて行きます。棟包み板金を留め付ける物は釘ですが、打ち付ける位置によって、耐久性が変わります。
貫板は無垢の杉材ですが、野地板は構造用合板で、木造家屋に使用される資材の性質が異なり、それを理解した施工が求められます。
片流れ屋根の大棟板金を垂直落とし方向で見ると、構造用合板の側面に釘が打ち付けられている状態を見る事が出来るでしょう。
これが被害の根源になっていた可能性を街の屋根やさん宝塚店は感じ取りました。その理由を今から申し上げて行きます。
構造用合板は、家屋の躯体に使用しても、十分な地震耐力を保つ建築資材であることを国土交通省が認めている屋根資材です。
国交省が認めた堅牢な屋根資材でも、その構造を理解した上で、釘を打ち込む方向が、材質上適切かを見極める判断力が問われます。
構造用合板の側面を見ると、薄い木材が何枚も貼り重ねられて、ミルフィーユのような積層構造を成している事が解ります。
垂直方向から串刺しするように釘を打ち込むと有効ですが、水平方向に釘を打ち込むと積層を分解してしまう力が働きます。
積層に水平に打ち込んでいた釘は、棟包み板金を留め付ける強度が弱まり始め、10数年経過した今、強風に耐えられなくなったのです。
(棟包み板金が強風被害を受けにくい留め付け方法は、少しの工夫で可能になりますのでご安心ください。)