雪国でない大阪や兵庫、京都でも屋根の雪止め金具が望まれる理由
雪国ではないから降雪が少ない
大阪府や兵庫県、京都府にお住いのみなさまにとって、北部こそ冬季には降雪が見られるものの、平野部では積雪はあまり見られません。
街の屋根やさん宝塚店の商圏である宝塚市、川西市、伊丹市、西宮市、猪名川町、神戸市北区、三田市、篠山市では、毎年雪国ほどの降雪を記録しません。
しかし、上記各市町の北部では、雪止め瓦や雪止め金具をしばしば見ることが出来ます。
雪止め瓦、雪止め金具とはどんなもの
雪が降り積もり始めると辺りは銀世界に変貌します。道路や線路、グランドは白銀に包まれます。そして建物の屋根や屋上も真っ白な雪が積もります。
今年2018年も1月から3月初旬にかけて、大阪府、兵庫県、京都府をはじめとする近畿地方も、厳しい寒波に包まれて、稀な降雪が記録されました。
その時の屋根の降雪状況をご覧ください。いい年の大人ですが、関西人には降雪の結果雪が積もるとなんだかウキウキする気持ちもどこかにあるのでしょう。冬の趣を感じることができます。
これが雪止め瓦、雪止め金具、雪止め器具です。
雪止め瓦や雪止め金具が設置されている位置
屋根に積もった雪は、まず屋根全体に降り積もって覆い隠します。そしてその雪は徐々に解けて、屋根から滑り落ちて行きます。
やがてその雪は屋根から落ちるのですが、うっすら積もった雪も屋根全体に積もった雪は結構な量ですから、屋根から落ちる時には相当な重みがあります。
その雪の重さは結構な重量ですから、軒先の雨どいに相当な負担をかけます。雨どいも通過して落下する雪の塊が住んでいる人や家財道具を直撃し、時に被害を及ぼします。
それを軒先で受け止めて一気に落雪しないようにするために、雪止め瓦や雪止め金具、雪止め器具は、屋根の軒先に設置されるのです。
うちには雪止め金具がないが大丈夫なのか
一年を通して降雪する時期は極めて短く、積雪する回数もそう多くない実情から、落雪被害がでる確率も低いので、一年のほとんどは大丈夫だと言えます。
でも雪止め瓦や雪止め金具、雪止め器具が付いているお宅が多い現実には、相応の理由があるから設置されているのです。
どんな積雪で雪止めが必要なのか
今年の寒波は数年に一度の寒波でした。近畿地方の平野部では、数年に一度の寒波に端を発する降雪で、都市生活がマヒします。
私たちの生活の拠点である自宅も、知らない気付かないだけで結構な影響を受けています。偶然に被害がなかっただけです。
北海道や東北地方、上越地方や北陸地方は豪雪地域が多いのですが、意外にも年に数回、あるいは数年に一回積雪を観測する地域こそ必要です。
豪雪地域の屋根には雪止めがない
こちらも意外なことですが、豪雪地域、豪雪地帯の家屋の屋根には、雪止め瓦や雪止め金具、雪止め器具をほとんど見ることが出来ません。なぜ豪雪地たちや豪雪地域のお宅の屋根に雪止めがないのでしょうか。
豪雪地域には雪止めがない理由
雪国では屋根の雪下ろしがほぼ日課です。その地域に暮らす人々が屋根に上って毎日屋根の雪を下ろします。何十cm、何mもの雪をそのままにしておくと、雪の重みで家が被害を受けるからです。
雪国の人々は毎日相当な労力をかけて屋根の雪下ろしをするのですが、スコップで雪を下ろして行くときに、雪止め瓦や雪止め金具、雪止め器具がその邪魔をするのです。
何十cm、何mも積もる屋根の雪の重さは相当な重量で、日本瓦葺き屋根の軒先に極端な負担を強いることになります。
ガルバリウム鋼板やコロニアル屋根の雪止めは金属製なので、雪の重みで変形してしまいます。これが雪国のお宅の屋根に雪止めがない理由です。
雪の重さは水の重さと同じ
私たちは毎日お風呂に入ります。浴槽に満々と湛えられた湯量を考えてみましょう。
1.5m×0.7m×0.6mくらいの普通の浴槽のお湯は実に630kgの重量があります。
一般的な家屋の屋根の広さを20坪と仮定した時の広さは66㎡です。もし10cmの雪が積もると、6.6㎥です。
その重さは6,600kgです。6.6tもの重さが屋根にかかっているのです。
締め固まった雪ではありませんし、雪質にもよりますが、最大の荷重をこのように考えることができます。
落雪を安易に考えてはえらい目に遭う
屋根の軒先から落ちてくる雪は、結構な被害を及ぼすことがあります。お宅の周囲には、私たちの家財道具があるものです。
例えばエアコンの室外機、自転車や原付バイク、丹精込めて育てた盆栽、自家用車などがあります。日常生活では犬走を歩いて、ゴミ箱を整理したりします。
下屋に何トンもの雪が落ちてくると、下屋そのものや庇を破損することもあります。軒樋を壊してしまうと修理費に想定外の出費が伴います。
お隣様に被害を及ぼすことも
屋根の軒先がお隣様と接近している場合、落雪はお隣様の家財を傷めることがあります。お隣様が大切にしている盆栽の花壇があったら大変です。
仮にお隣様の敷地内に大切なものがなくても、落下してくる大量の雪を見たお隣様が想像をした時に、その危険性だけで険悪なムードになってしまうと、大切にしていた人間関係が脆くも崩壊してしまうことがあります。
雨どいの破損は結構な出費になる
ご自宅の各所に設置されている雨どいは、雪の重みで破損したり損傷することがあります。雨どいの竪樋は落雪被害を受けにくい雨どいですが、横方向に設置された軒樋は、雪の重みを直接受けてしまいます。
下屋の軒樋であれば脚立で上って修理をすることが出来ますが、大屋根の軒樋は足場を架設しなければ修理することができない高さにあります。
足場を架設すると、それだけで10万円から20万円もの費用がかかります。わずか数千円の雨どい資材を修理するのにこんなにも費用が掛かるのです。
雪止め瓦や雪止め金具、雪止め器具は後でも設置できる
新築で屋根を葺くときや、改築で屋根を葺き直すとき以外でも、雪止め瓦や雪止め金具、雪止め器具を設置することは可能です。
ほとんどの屋根材には、屋根材を製造するメーカーから専用の雪止め瓦や雪止め金具、雪止め器具が用意されていますので、簡単に後で設置することが出来ます。
大屋根の場合は足場が必要ですので、新築で屋根を葺くときや、改築で屋根を葺き直すときに、同時に設置しておく方が、費用面で安く済みます。
雪止めを設置するベストポジション
屋根の頂上である棟から軒先に通じる垂木一本が屋根の躯体として軒先の強度を守っています。軒先の下で屋根の荷重を支えるものが何もありません。
軒先はオーバーハングになっていて屋根の荷重を支えるものが、下地の垂木以外に何もないことが屋根構造から理解することが出来ます。
屋根の軒先に負担をかけない、雪止め瓦や雪止め金具、雪止め器具を設置する最も望ましい位置は、軒先の先端ではなく、外壁の鉛直線上になります。
軒先には唐草と言う水切り板金が設置されていますが、軒先には屋根の躯体である垂木の木口もあります。その上で長い時間にわたって滞留する積雪は融雪水を木材にしみ込ませる可能性がありますので、その可能性を排除することが大切です。