ご自分の家をはじめご近所のお宅を眺めてみると、屋根には様々な角度の勾配が付いていることが分かります。
どうして屋根には勾配が設けられているのでしょうか。
降り落ちてくる雨は、まず家の頂上部分である屋根に落ちてきます。
その雨水は屋根に長く留まると、家の中に侵入する可能性が高まりますので、速やかに流し落とす必要があります。
勾配を設けて雨水を地表に流し落とすことを目的としています。
建築の世界では3寸勾配とか4寸勾配などと表現をすることが一般的です。
ここで「寸(すん)」という単位が出てきました。
1寸は約3cmの長さで、10寸になると、これを1尺(しゃく)と表現します。
1尺は約30cmであることが解ります。
(ご存知の方も多いと思いますがあえて・・・)
3寸勾配とは、水平方向に10寸(1尺)進むと、高さが3寸上がる傾斜角度の勾配を意味します。
4寸勾配も同じように考えます。その他には5寸勾配や6寸勾配などの屋根もあります。
10寸勾配になると正三角形になりますので、傾斜角度は45°になります。
屋根の傾斜角度である勾配の表現は3種類あります。
名称 | 表示 | 説明 |
寸法勾配 | x寸 | 水平方向の距離10に対して、高さ方向の距離が何xかで定まります。 |
分数勾配 | x/10 | 水平方向と高さ方向の距離の比率を表現します。3寸勾配ならば「3/10」と表現します。 |
角度勾配 | x° | みなさまも馴染みのある角度で表示する方法です。建築業界ではあまり使いません。 |
勾配が極端に緩い状態、例えば陸屋根のように水平な屋根の面積は建物の床面積と同じになります。
一方、勾配が極端に急だと屋根は壁に近い状態になりますので、面積は広くなります。
金属屋根の立平やたてはぜ葺きは1寸以上、コロニアルは2寸5分以上の勾配が適切です。
日本瓦は4寸以上の勾配が必要であるなどように、屋根材ごとに要求される勾配は異なっています。
勾配が緩いと雨水は流れにくくなりますので、必要な勾配は必ず守らなければなりません。
重ねて葺かれた屋根材の隙間を毛細管現象で水分が屋根内部に侵入するからです。
急勾配の屋根は傾斜角度が大きいので、雨水は排水されやすく、雨漏りしにくい屋根になるという特徴があります。
急勾配屋根は、「雨漏りしにくい」「屋根と建物のバランスが良い」「屋根裏を広くとることが出来る」が挙がります。
急勾配屋根の短所は、「屋根工事費用が高い(屋根面積が広く資材を多く使う、屋根足場が必要になる、施工速度が遅くなる)」「屋根が壁に近くなり横風の影響を受ける」が挙がります。
最も中庸な勾配で、並勾配の屋根が一番多いので、供給される屋根資材も種類が豊富です。
屋根資材が豊富だと選択肢が広がり、デザイン性に自由度が高まるうえ、屋根資材費も安くなる傾向があります。
並勾配の長所は、「3寸以上あれば十分に雨漏りしにくい」「ほとんどの屋根材を採用することができる」「屋根材が豊富で色、形を選ぶ余地が大きい」「屋根工事費が廉価」が挙がります。
並勾配の短所は、特に挙がるものがありません。並勾配屋根が一番多いのは、短所が少なく優れている証です。
前述までの通り、緩い勾配は雨水の排水性能が劣りますので、雨漏りがしやすい側面を持ちます。
一方屋根から落雪しにくい、屋根の工事費が廉価になる側面を併せ持ちます。
緩勾配の長所は、「工事費用が廉価になる(屋根面積が少なく資材費が削減され、足場が不要な時もあります。)」「急勾配の反対で横風の影響を受けにくい」が挙げられます。
緩勾配の短所は、「雨水の排水性が低い」「堆積塵埃が残留しやすい」「屋根デザインが決められてしまう」「採用できる屋根材が限定される」が挙げられます。
屋根勾配が急なのか緩やかなのかで、前述のような違いや、長短が存在します。
これを包括的に理解していると、屋根工事をする時に、物理の法則に反しない屋根工事、屋根材の選定ができます。
屋根工事業者の見解に基づいて、ご自身の意思を盛り込んだ屋根工事ができるようになります。
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