アスファルトシングル屋根が台風21号の強風で剥がれてしまいました。その引き裂かれて飛散したアスファルトシングルは周囲に飛散し、前面道路や敷地内に散乱していました。
そのほか、近隣家屋にまで到達し、庭先に散乱したほか、そのお宅の外壁にも直撃して汚損(汚してしまう)してしまったのです。
外壁の一部が黒く汚れてしまっています。高圧洗浄作業で汚れを除去できるのでしょうか。
残念ながら高圧洗浄作業では除去できない汚れです。
アスファルトシングル材の主成分はアスファルトですので、外壁に直撃したときに、擦り付けられる様に、黒いアスファルト成分が付着しているのです。
真夏のカンカン照りのとき、アスファルト道路が少し解けて柔らかくなっている状況を見たことはないでしょうか。
うっかりスニーカーで踏んでしまうと、靴底が黒く汚れてしまい、結構歩き続けなければ黒い色が落ちない経験があります。
歩くことで靴底が軽く研磨されるので汚れが落ちます。これと同じく外壁を研磨したら落ちますが、再塗装が必要になりますので、結局は再塗装しか方法がありません。
オーナー様はマンション屋根の被害だけでなく、近隣家屋にも被害を及ぼしていたことに相当負い目を感じておられたので、早々に契約している火災保険会社へ連絡を取られました
。被害状況の写真を可能な限り用意して、保険代理店へ通知されたのです。
オーナー様が通知をするなり保険会社からは意外な回答があったそうです。「自然災害ですからお支払いできないと思いますよ。」と。
それでは「何のために火災保険に加入しているのかわからないじゃないか。こんな時のために保険には加入しているのに。」と、オーナー様は落胆と癇に障る気持ちになられたそうです。
近年損害保険会社が保険金を払い渋り、悪質性が高い事案については、しばしばニュースにもなっていた記憶があったので、オーナー様は弁護士に相談をされました。
弁護士さんの見解は、民法717条の工作物責任に基づいて判断されるとのことでした。
土地の工作物の瑕疵によって第三者に被害を及ぼした場合には、工作物の所有者または占有者が賠償責任を負うという規定です。「瑕疵」という言葉をよく聞きますが難しい言葉なので「欠陥」と置き換えると解釈しやすいです。
建物に瑕疵(欠陥)があって、その欠陥が他人様に危害や被害、損害を及ぼした場合には、責任を負うというのはごく当たり前です。でも瑕疵(欠陥)があったかどうかが焦点になるようです。
このオーナー様のマンションの屋根には瑕疵(欠陥)はありませんでした。鑑定会社の鑑定人も被災認定をしてくれています。
では瑕疵(欠陥)がある状態とはどのような状態でしょうか。例えば敷地内の樹木が今にも倒れそうであるとか、敷地の境界のブロック塀が倒壊しそうであるという場合、瑕疵(欠陥)があったということになります。
所有者または占有者にその認識があったかどうかではなく、瑕疵(欠陥)があったかどうかの事実がポイントです。
先ほどのように敷地内の倒れそうな樹木や倒壊しそうな境界のブロック塀を放置したならば、瑕疵(欠陥)がありますのでその責任を負いますが、このマンションのように瑕疵(欠陥)がない場合は工作物責任を負わなくて良いのです。
地震、落雷、強風、火災、水害など、どれ一つを挙げても故意に起こすことはできず、襲来することを避けることもできません。地震で倒壊してしまったお宅の家主も、地震に無理やりお宅を倒されてしまった被害者なのです。
強烈な揺れを伴う地震、猛烈な勢いで吹き付ける暴風は、通常の常識人にとっては不可抗力です。これによって責任が発生すると言う法律構成では、当事者が酷すぎるのです。だから責任が発生しないという判断になるわけです。
普通の風で屋根が飛んだのとは違い、猛烈な風圧で屋根が飛ばされてしまっています。誰も屋根を飛ばされたいとは思いません。
自然災害に基づく不可抗力事案ですので、保険会社は保険金の支払い義務が発生しないと言っているだけで、悪質に払い渋っているわけではないのです。
自然災害の場合は誰の責任でもない訳ですから、賠償義務は誰にもありません。この場合は誰からも補償を受けることができないことになります。
「自分の家は自分で守りましょう」というのが法律の主旨であり、火災保険はそのために用意された保険商品ということになります。
今回のケースは外壁が汚れた程度の話ですが、隣家の火災が迫ってきて、わが家も全焼した場合などは、少々話の次元が違います。失火責任も不可抗力事案ですので、出火させてしまった人に賠償義務がありません。
誰も補償をしてくれないので、せめて火災保険に加入しておかなければ、自宅の再建ができなくなるばかりか、二重ローンの地獄に陥ってしまう危険さえあります。火災保険には特殊な事情がない限り加入しておくことをお薦め致します。
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