ベランダの天端から1400mm下に位置する干渉目地にコーキングが施工されています。一昨日打設と充填をしたコーキングに気泡ができていたので、手直し工事をすべく部分的に切開をすると、そこから水が出てきました。
一昨日の夕方から翌朝にかけて、しとしとと雨が降り続きました。その雨水がベランダの天端にも降り注いで滲み込み、タイルと下地ALCの隙間を通って、干渉目地まで到達していたのです。
横方向に施設した新しいコーキングは、防水と止水効果が高いので、上から流れてきた雨水をしっかり受け止めていたのでしょう。切開した部分から、内部に蓄えられていた水分が湧き出るように出てきたのです。
ベランダ頂上付近の写真をご覧ください。頂上なので天端(てんば)と表現します。ザラザラした面と、コーキングされた部分、そしてタイル面が見えます。
ザラザラした面は、ベランダの内壁から連続してここまで到達していまして、モルタルを左官で塗りつけて表面はリシン吹き付けで仕上げがされています。
タイルは、役物と呼ばれる平面部とは違う形状の専用の形の物を使って直角の角を張り付けられています。
モルタルとタイルの継ぎ目は完全に密着させることができないので、コーキングでシールされている訳です。
まずはタイルとモルタルの境目からの雨水の侵入を防ぐ目的で施工されていたコーキングが劣化している場合は、その隙間から滲み込んでしまいます(今は新しいコーキングですが)。
次に「タイルの目地」と「表面のリシン塗装が劣化したモルタル」からも、雨水が滲み込んでいたことも十分に考えられます。
コーキングは新しいので、「タイル目地」、「モルタルの表面」からの2方向から雨水が侵入し、外壁タイルと下地ALCの隙間に到達して、下に流れ落ちていたのです。つまりコーキングだけでは、防水と止水は不十分だと判ったことになります。
もう一度ベランダ天端の構造を見てみましょう。コーキングはほぼ垂直に切り立っていて水分が滞留しにくく、しかもその材質が水分を弾きます。しかしモルタルとタイルの表面は、水平になっていることが大きな違いであることが解ります。
モルタルは表面のリシン塗装が劣化しているので雨水を吸収しやすくなっていますし、タイルは陶器ですので表面は雨水を弾きますが、タイルの目地はセメント質ですから水分を吸収してしまいます。ベランダ天端のほとんどが水平であることで、水を受け止めやすくなっていて、モルタルとタイル目地が水分を吸収しやすいのです。
雨水が侵入する原因が2点に絞られました。どちらが真の原因なのか。
ここで判断を誤ると失敗工事になって、お客様に迷惑をおかけするばかりか、私どもの責任問題に発展しますので、間違うわけにはいきません。
なぜタイル目地からの侵入であると断言できるのかを考察してみましょう。
降ってくる雨は、風の影響を受けなければ垂直に降下してきます。ベランダの外壁が段違いになっていれば別ですが、このマンションの全てのベランダ外壁は同じ垂直線上に位置します。外壁で受けて伝ってくる雨水は外壁の鉛直線上で滴り落ちてくるのです。
よほどの風の影響を受けた雨降りでない限り、ベランダ内壁側に吹き込んで滲み込んでくる雨水の量は少ないと判断するのが妥当です。
このことから、ベランダの内壁の延長であるモルタルが吸収する水分よりも、タイル目地のセメント質から吸収する水分量の方が大きいと判断できるのです。
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