大阪北部地震で玄関屋根が傾いた本当の原因は外溝擁壁が押し出されたことでした。
そのうえ地震の揺れで盛土は締め固められ、全体的に宅地地盤が沈下したのです。
その結果として玄関屋根(下屋―ゲヤ)までが傾きました。
文字のごとく土を盛ることに他なりませんが、傾斜のある地域を造成して宅地化していくとき、家を建てることが出来るよう勾配をなくします。
低い部分には擁壁を築造して土を盛ります。盛った土が流れないよう、また盛土の荷重を支保する目的で堅牢な擁壁が築造されます。
反対に高すぎる部分は土を切り出します。盛土の対義語として、これを切土(キリド)と言います。一段上の宅地との境界は切土をします。
外溝擁壁はいろんな工法と材料で仕上げられますが、このお宅はコンクリート下地に石積み調のデザインで仕上げられています。
相当堅牢な擁壁ですが、阪神淡路大震災と大阪北部地震の大きな2回の地震には耐えられなかったのでしょう。微妙に傾いています。
擁壁の基礎となるコンクリートと石積みの混成擁壁は問題ないようですが、腰の高さより少し上までまで立ち上がった擁壁が微妙に押し出されています。
外溝擁壁の傾きは僅少すぎて判りにくいのですが、アプローチ土間を見ると傾いていることがはっきりと判ります。
水平を保って撮影した写真をご覧いただくと、一目瞭然です。アプローチの踏み石が、左側に傾斜がついてしまっています。
前面道路の高低水準からおよそ1mかさ上げされた宅地ですが、盛られた土の重さは何十トンもあると思います。その上家屋の重量が加算されます。
外溝擁壁にかかる荷重は半端なものではない事を解っていただけると思います。巨大地震で揺さぶられると、何十トンもの荷重は堅牢な擁壁を押し出します。
厳密な調査はしていませんが、家は傾いていないことが判りました。水準器でお宅内部を計測しましたが、極端に一方向にずれていないからです。
またこの年代の家屋は布基礎であることが多いのですが、べた基礎で作られている事が図面で判明しています。
布基礎は不等沈下してしまうことがしばしばありますが、べた基礎は沈下しても均等沈下します。
そして基礎擁壁に何のダメージも見られないので、谷方向に宅地が滑ることは極めて考えにくいと判断することが出来ます。
玄関屋根が傾いてしまったことは事実です。傾いたままでは、玄関屋根を構成している小屋組みの主たる骨格である桁が割損する可能性が残ります。
玄関屋根の支柱の代わりになる補助柱を入れてレベルを補正し、玄関のタイル土間を再構築するか、支柱を継ぎ足して、安定状態になった宅地地盤に、玄関屋根の正規荷重がかかる状態にすれば解決です。
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