隣のお宅から小粒の石のようなかけらがたまに落ちてきて、うちのカーポートの屋根に乗っているのです。大きなものではなく、傷がつくようなこともないのであまり気にしていませんが、何が落ちてきているのか知りたいと、屋根とバルコニー防水の点検時にご質問を承りました。
敷地も100坪はあろうかと思われる立派な日本家屋で、燻し瓦が葺かれている日本瓦屋根です。屋根全体を見るとおよそ3分の1強程度を葺き直ししておられる様子でした。
ご覧のように大屋根は切妻屋根で、箕の甲形式の風格ある日本瓦屋根です。遠くから拝見して観察するしかありませんので、双眼鏡で確認してみました。
大きな立派な屋根ですから、屋根全体を観察するのに時間がかかりましたが、平瓦の一部に「凍て割れ」「凍み割れ」があるとこが窺えました。またさらに観察を続けると、面戸漆喰に損傷個所が見られます。
「凍て割れ」「凍み割れ」をした結果、瓦の一部が割れていて、その破片が落ちてきているか、面戸漆喰に使われている「南蛮(ナンバン、なんばん)」が落ちてきているものと分かりました。
日本瓦でも釉薬を使わず焼成された燻し瓦にはしばしば起こる現象です。釉薬瓦でも起こる現象ですが、燻し瓦に多く見られます。文字からある程度想像していただけると思いますが、念のためご説明申し上げます。
雨水や夜露など外界から瓦の表面に到達する水分が、氷点下になるような冬の寒い日に、瓦の内部に水分が浸透し、それが凍ってしまった時に、瓦の内部で凍ることで膨張した水分、氷が瓦を破砕、破壊して起こる現象です。
昔は瓦と瓦の隙間から水分が侵入しないように、特に棟瓦と鬼瓦とのつなぎ目や、平瓦と棟の合端口(接合部分、取り合い部分)の面戸や雀口に詰めて雨水や鳥類、虫類の屋根内部への侵入を防ぐ目的で塗布される漆喰です。
天然の漆喰は5年から10年で詰め直しや増し詰めを行い、棟を積み直す(取り直す)必要がありましたが、セメント成分を配合することで、その耐久性を飛躍的に向上させた現代の漆喰が「南蛮(ナンバン、なんばん)」です。
調査をさせて頂いた私は双眼鏡を通して肉眼で確認しましたので間違いはありませんが、後日依頼者様には撮影した写真画像を拡大して説明しました。なるほどと腑に落ちた様子でいらっしゃいました。
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