一般的な戸建てでは軒先の高さがおよそ6mで、屋根の頂上で7mです。
しかしI様邸は擁壁で盛土されていますので8mあります。
梯子をかける場所を考えなければなりません。玄関前の階段を上がった土間に据えれば、なんとか屋根に届きそうであることが分かりました。
屋根が葺かれた当時は、瓦の塗装が美しかったと思いますが、長年の紫外線照射や夏冬の温度変化、降雨と乾燥は、瓦の塗装を剥がします。
しかし踏み割れすることはありません。アスベストの使用が認められていた時代のスレート瓦は、相当強力な屋根瓦であることが分かります。
何箇所かスレート瓦が欠けているところがありました。またスレート瓦がずれている箇所もありましたので、手作業で修正をします。
屋根全体を総体的な視点で観察しても、大きく割れている、大きくずれている瓦はなく、決定的な雨漏り原因が見つかりません。
棟瓦の接合部分には漆喰の欠損も見られましたが、瓦には重ね代がありますし、ルーフィングシートも防水していますので、雨漏りするようには見られません。
このお宅の屋根は寄棟屋根という形状です。東西と南北にそれぞれ大棟を1本ずつ配する寄棟が結合している屋根形状です。
寄棟屋根が直角に出会う、屋根の接合部分では、谷が存在します。
谷は、瓦だけでは排水できませんので、金属板を敷き込んで雨仕舞します。
雨仕舞の谷板金は、大棟から軒先の水下まで十分に敷設されています。
屋根としては何も問題ない状態です。雨漏りするのが不思議なくらいです。
屋根面と屋根面の接合部分には、隙間が存在します。その隙間をのぞき込んでみます。
しかし隙間が小さすぎて十分に観察することができません。
文明の利器は本当に便利です。デジカメのレンズさえ入れば、液晶画面で確認することができます。まずは写真撮影に徹します。
カメラのレンズを忍び込ませ、人間の目では見ることができない場所を捉えます。角度を変えて何枚も撮影したら、異変に気付きました。
雨仕舞とは、降り注いだ雨水がどんな経路を辿って、水上から水下へ流れていくかを考察し、物理の法則に適った防水処置をすることです。
デジカメのレンズは、雨仕舞が不十分であることをとらえていました。いくら瓦の下と言えど、木地が露出している状態は不完全です。
大雨の時には屋根瓦の表面を流れ落ちる水量は多く、大棟付近から流れ落ちる雨水は流速を速めて雨仕舞の谷板金に到達します。
およそ450mmの谷板金は、谷芯から225mmしか雨水を許容することができません。勢いあまって谷板金を吊り超えた雨水はルーフィングシートに達します。
超えてしまった雨水はルーフィングシートが防水しますが、木地むき出しの部分があれば、水分の侵入を許してしまいます。
ご覧のように木地が露出していますので、ここから雨水は吸収され続けます。その雨水は短い時間で2階の室内に達して雨漏りすることになりました。
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