瓦葺き屋根の瓦がどうして「凍て割れ」「凍み割れ」を起こすのか


放射冷却後の晴天の寒さ、冷たい雨が降り注ぎ、雪の一歩手前の寒さ、晴れているが氷点下を超える寒さ、雪が降り積った状態の寒さ、降った雨が凍り付く寒さなど、屋根の厳寒状況は千差万別です。

凍てつくような寒い日などと表現する時に凍てると言いますね。一方で「凍み」はあまり日常では使うことがない言葉だと思いますが、国語辞典を引いていただくと「しみ」と解説されています。


いずれにしても寒い季節に起こる現象だと言うことは察しが付きます。寒さが厳しいと水道管が破裂することがありますから、屋根の瓦が割れることもなんとなく理解ができます。

水が氷ると体積が増えるので、水道管内部が氷ると膨張した氷が水道管を破裂させる

この理由もいくつかあります。瓦が水分を吸い込み、それが凍った時に瓦内部から破壊します。


水道管が破裂する原理と同じです。製氷皿に水を入れて冷凍庫で凍らせます。


氷が出来上がると製氷皿が膨らみ、氷の表面が盛り上がるのを私たちは知っています。


水が氷ると体積が増えるから膨らみ盛り上がります。瓦が吸った水分が氷ると陶器の硬い瓦も破壊されてしまいます。


次に大きな温度差が生じる時に、物が崩壊することがあります。


夏の暑い日にガラスコップに氷を一杯詰めた直後に割れた、冬の寒い日にお湯を入れて割れた経験があると思います。


急激な大きな温度差が生じると、物は伸縮に耐えかねて崩壊することがあります。

施釉瓦はガラス質が表面を覆うので、茶碗や湯飲みのように水分を通すことはない

陶器である瓦は釉薬が塗られて、窯で焼かれます。釉薬は主に土を原料として水に配合されて造られています。


素焼きの陶器は表面がザラザラしている自然の風合いに対して、施釉瓦は焼きあがると表面はガラス質が素地と一体化して、水分を吸収することはありません。


茶碗や湯飲みから水やお茶が滲み出してくることはありません。施釉陶器が焼かれると、土を主原料とする陶器はガラス質化した釉薬が一体化して、表面は完璧なコーティングが出来上がります。


しかし表面のガラス質にひび割れが起きた時に、雨水が瓦内部に侵入し、凍てつく寒い日が重なると、内部崩壊を起こしてしまいます。

ガラスコップに熱湯を注いで割ってしまった経験がある方は多いと思いますが、湯飲みに熱いお茶を入れて、割れる経験をした方は少ないと思います。


施釉陶器は温度差に極めて強い特性を持っています。そんな特性から陶器である瓦が割れるとは考えにくいと思います。


しかしごく稀ですが、凍てつく寒さが続いた後に、快晴が続くことがあります。真冬でも日焼けをするほどの快晴であれば、瓦の表面温度は触るとカイロよりも暖かいくらいにグングン上昇します。


しかし瓦内部はまだまだ冷たい状態ですので、表面と内部の温度差が瓦を自然割損することがあります。

施釉瓦でも端部が凍て割れしてしまう原因は裏側に回った水分が端緒になって割れていく
凍て割れ、凍み割れは瓦の端部に多く見られる
屋根瓦の端部や下端がまず凍て割れ、凍み割れを起こす

凍て割れした屋根瓦をよく観察してみます。すると意外な共通点に気づくことができます。その共通点は瓦のすそ部分が割れている共通項がありました。


なぜすそ部分だけが割れるのでしょうか。瓦には様々な種類がありますが、この瓦は表面は施釉されていますが、裏面は無釉状態です。


無釉状態とは素焼きの陶器と同じ状態です。水分を吸収しやすい状態にあります。しかし雨は上から降るので、瓦の裏面は濡れないはずです。

屋根瓦の重ね代はアール形状で十分に用意されていますが、それを超える吹き降りの雨が降る時は、瓦内部に水分が侵入する

屋根瓦は十分な重ね代があります。その重ね代はご覧の通りです。


しかし極端な例ですが、この重ね代を超えて内部に侵入するくらい激しい吹き降りの雨が降る時もあります。


次に瓦のすそ部分だけが割れている症状から知ることができる理由にたどり着きます。


瓦のすそ部分に達した水分がすぎに水切れしなかった時、毛細管現象で裏側にじわじわ水分が遡上します。


その水分が無釉状態の裏面に達した時に濡れます。さらに瓦の内側で起こる結露が、裏側を濡らす原因になります。


凍てつく寒い日が続いた後の快晴で瓦の表面と内部に温度差が生じます。



暑い日にグラスに注がれたビールは外気との温度差でグラス表面が結露して曇る

熱いものと冷たいものが接しているときに結露するのを思い出しませんか。


透明なグラスに注がれた冷たいビールジョッキ表面が濡れています。まぎれもなく温度差で生じた結露現象です。


これと同じことが屋根瓦の内部で起こりますので、結露に因る水分が発生して、瓦の内側に水滴が付いてしまいます。


その水分が無釉状態の素地に吸収され、再び氷点下に達した時には、瓦が内部崩壊を起こすことになります。

このようにして屋根瓦は「凍て割れ」「凍み割れ」を起こしますので、屋根の上に上ると細かな瓦の破片が見つかります。

釉薬が形成したガラス質が欠けた箇所からは雨水が吸収されやすいので、「凍て割れ」「凍み割れ」の進行速度は加速していき、屋根の劣化速度も速くなることをご理解いただけると思います。

今年の2月だったでしょうか。南米のアルゼンチンでメロンサイズの雹が降ったニュースが話題になりました。雹は比較的暑い季節に降ることが多い自然現象です。


雹とは直径が5mm以上の氷の塊を言い、5mm以下の氷の塊は霰(あられ)と言います。かつて日本でも大正年間にすいかサイズの雹が降った記録が文献に記録されているそうです。

メロンサイズの雹が降ったアルゼンチン 多くの屋根が損壊し負傷者も出た

1990年の後半でも、千葉県と茨城県でゴルフボールサイズの雹が降ったことがあります。屋根やベランダの波板、ポリカーボネートのカーポート、自動車の天井やガラスが激しく割れる被害がありました。


上空何千メーターもの高さからゴルフボールサイズの氷の塊である雹が降ってきたらどうなるでしょうか。人に直撃したら死亡することさえあります。


2000年に千葉県、茨城県で降った雹はゴルフボールくらいの大きさがあり屋根に大きな被害をもたらした

屋根瓦ならばいとも簡単に破壊するでしょう。隕石の落下を想定するのは極端すぎますが、降雹は毎年普通に起こる自然現象です。それが原因で屋根瓦が割れてもおかしくはありません。


雹の被害は結構な確率で起こります。街の屋根やさん宝塚店のコラムでもご紹介していますので、侮らずご一読ください。必ず役に立ち助けられる時が必ずあります。

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